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肝がんへの進行を阻止C型肝硬変で大きな効果
GPT抑える抗炎症療法

「肝がんへの進行をストップ」―。感染者数200万人とも言われるC型ウイルス性肝炎は、長い期間を経て肝硬変から肝がんに進行するが、なかなか治療は難しい。しかし、GPT値を抑えて最終段階の肝がんに発展させない「抗炎症療法」が、日本で“開発”され、大きな効果を上げている。データの蓄積も進み、現在、国内の多くの施設で実施されるようになってきた。 

▽肝臓の炎症に注目
   肝細胞の障害の程度を示す指標であるGPTに目を付けたのは神奈川県立がんセンター(横浜市)の多羅尾和郎院長。もう16年前のことだ。 「例えば東南アジアに多い肝ジストマ(肝吸虫)。胆道にすみ、慢性炎症を起こすが、胆道・胆管がんになることが非常に高率であり、炎症ががんに関係すると思った」(同院長)
   同院長は、肝臓の炎症状態を反映する指標がないかと、文献をあさり、見つけたのがGPTだった。 そこでC型肝硬変患者のGPT値に注目して観察を続けると、年平均のGPT値が80単位以下では、がんの年間発生率が低いことが分かってきた。 実際、C型肝硬変初期の患者95人を、GPT年平均値で持続高値群(80以上)、持続低値群(80未満)、変動群(判別不能)の3群に分け、8年間の発がんを見ると、高値群では32人中27人(84・4%)、低値群38人中9人(23・7%)と大きな差がつき、変動群は15人中8人(53・6%)と中間の値が出ている。 

▽発がんを半分に
  多羅尾院長は、GPT値を80単位以下にできれば、肝細胞の持続炎症を抑え、肝がんへの進行を阻止できるのではないかと考え、1989年からC型肝硬変症初期の患者を対象に抗炎症療法を開始。 肝臓の炎症を抑えるために強力ネオミノファーゲンCやウルソデオキシコール酸、漢方の小柴胡湯、十全大補湯などを利用した。 抗炎症療法を実施した初期肝硬変症の患者七十七人の場合、同様に五年間の発がん率は、高値群23人中9人(39・1%)、低値群40人中2人(5・0%)、変動群14人中3人(21・4%)だった。 がんへの進行は全体で14人(平均18・2%)となり年率は3・6%。通常のC型肝硬変症からの発がん率7%と比べ、半分に抑えられたことになる。 

▽80単位以下に
  一方、初期C型肝硬変の患者で10年間、がんにならなかった人をGPT値から見ると、20人(66・7%)が低値群で、6人(20・0%)が変動群、高値群は4人(13・3%)だけだった。 現在、C型肝炎の治療にはインターフェロンが使われるが、C型肝炎患者では効果があるのは30%程度。残る患者に対する抗炎症療法があらためて見直されている。 多羅尾院長は「C型肝硬変患者は毎年3万人が肝がんになっている。抗炎症療法を使えば、それを半分にできることをデータが示している」と話している。9%(14人)は予後がよく、3カ月以内に回復。3人に1人に当たる34%(53人)は症状が安定し、共存していけた。一方、14%(22人)は身体症状を訴え続けて苦しみが続き、残る13%(20人)は、よくなったり、悪化したりの変動が続いた。

2002/5/14 共同通信社


最近、肝機能障害を改善する著しい効果がある健康食品「養生片仔廣」が医師に注目されています。その有効性が学会でも発表され、海外でも臨床実験が始まる予定です。

インターフェロン、強ミノCが無効だったC型肝炎の患者に劇的効果

おおうち総合検診所(広島市)の國木弘道所長も、養生片仔廣の肝機能障害を改善する効果に注目している医師です。
 「地元の医師会の研究会で、漢方養生研究所から養生片仔廣を投与した症例の提示があり、非常に興昧をもったのが、養生片仔廣との出会いです」
 國木所長は、長期にわたって通院しているC型肝炎の患者さん2人に養生片仔廣を飲んでもらいました。2人とも、それまでの治療では肝機能の改善が少しもみられなかったそうです。
 ところが、「養生片仔廣を短期間飲んだだけで劇的に改善しました」(國木所長)
 患者さんの一人、Tさん(65歳、男性)は、10年近く前からC型肝炎で通院、この間にインターフェロン療法を試みましたが、副作用が強く現れたため、中断せざるを得ませんでした。強力ミノファーゲンCや小柴胡湯の投与も試みましたが、自覚症状の改善はみられたものの、検査データは正常になりませんでした。
 肝機能検査のうち、GOTは7〜40単位が、GPTは5〜35単位が正常値です。Tさんは、養生片仔廣を服用する前、GPTは168単位でした。それが、服用約2週間後には一気に22単位に下がったのです。投与量を1日12錠から6錠に減らしたところ、約1カ月後に28単位に、約2ヵ月後に31単位になり、約3ヵ月後の現在は30単位とのことです。
 「この患者さんは、強ミノCを1回に60mg、週に2〜3回静注しています。養生片仔廣を飲むようになってからGPTが明らかに改善したのですから、やはり養生片仔廣の効果による作用と考えています」(國木所長)GOTは、養生片仔廣使用前は210単位でした。使用約2週間後には90単位に下がりましたが、服用量を1日12錠から6錠に減らしたところ、10日後には114単位に、約2ヵ月後に160単位に、約3ヵ月後の現在は156単位です。
 「GPTは肝臓に多い酵素であるのに対して、GOTは心筋、骨格筋などにも多い酵素です。したがって、肝機能を評価するにはGPTがもっともよいと考えています」(國木所長)
 GPTの数値が下がってきたということは、肝臓の炎症が解消してきたことを表しています。ちなみに、肝炎が慢性化すると血小板の数が減少してきますが、養生片仔廣を飲むようになったら血小板の数が増えてきた、という医師の報告もあります。また、C型肝炎のウイルスの数が減った、という報告もあります。

養生片仔廣は、中国宮廷薬膳処方の田七杜仲精をべースに田七、黄精、甘草を配合した健康食品です。その有効性については、矢内原研究所が動物実験を行い、細胞組織検査、血液検査の結果、肝細胞の炎症を抑制する効果があることが確認されています。また、急性肝炎、B型・C型ウイルス肝炎、アルコール性肝炎、薬物性肝炎、脂肪肝の患者に対する臨床実験が行われており、いずれも著しい改善効果が認められました。
 その結果は、第16回和漢医薬学会(1999年8月)、第2回日本代替医療学会(同年10月)、第3回国際臨床ウイルス肝炎学会(同12月)の、内外の学会で報告されています。
 今年6月に開かれた「西暦2000年国際肝臓学会(LASA)アジア太平洋肝臓学会(APASL)合同会議」では、原田院長と矢内原研究所のグルーブが、「新漢方処方『養生片仔廣』のさまざまな種類の肝臓病患者における血中ALT(GPT)およびAST(GOT)に対する効果」というテーマで報告しました。
 臨床試験は、医師の管理の下、C型肝炎を含むさまざまな種類の肝臓病患者に対して、1回1gの「養生片仔廣」を1日3回、毎食後に投与しました。その結果は、服用を始めて10日後には全員のGPTが明らかに改善しました。平均で、血中ALT(GPT)が服用前の数値の約5分の1に、また、AST(GOT)は3分の2に減少したのです。
 この学会では、イタリアのF・Marotta博士も、研究発表を行いました。動物実験の結果、養生片仔廣が肝機能の保護(予防)・改善(治療)に有効であると確認しています。同博士は、イタリアを代表する消化器病研究者で、次期イタリア肝臓学会会長に就任の予定です。
 さらには、この学会の席上、ブラジルで国際共同研究が行われることが、F・J・Carrrihe博士によって発表されました。同博士は、サンパウロ医科大学の教授で、ブラジル肝臓学会、南米肝臓学会を代表する肝臓病研究者です。インターフェロンと抗ウイルス剤の併用療法で効果が得られなかったC型肝炎患者40人を対象に、今年秋から1年間にわたって養生片仔廣を投与することが決定しています。
 このように、養生片仔廣は海外の研究者や医師からも注目されています。アメリカ・ボストンのある大学では、肝臓病で著名な教授が臨床実験に着手する予定です。
 肝臓病に著しい効果を表す養生片仔廣ですが、とくにC型肝炎に期待する医師が多いようです。インターフェロンの有効率は3割程度です。しかも、1サイクルの規定の治療でGOT、GPTが一定レベルまで改善しないと、追加の治療は健康保険では適用になりません。
 それが養生片仔廣の利用によってGOT、GPTが改善すると、インターフェロン追加治療(IFN追加治療)への可能性が広がります。養生片仔廣は健康食品ですが、医療に併用して用いることで、C型肝炎をはじめ、さまざまな肝臓病の改善に役立てられるでしょう。

毎日ライフ、2000/8